青柳碧人『未来を、11秒だけ』あらすじとネタバレ感想

青柳碧人さんの「未来を、11秒だけ」のあらすじと感想をまとめました。

タイトルから推測して主人公が特殊能力持ちのミステリーかと思っていましたが、複数の登場人物が特殊能力を持っている話でした。ところどころ意味が分からない箇所があるのが不思議でしたが、あとでこの本は「二人の推理は夢見がち」の続編だと分かりました。

本のどこにも記載されていないので、この本単独の話かと思っていました。不親切です。

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「未来を、11秒だけ」書籍概要

シェアハウス“FREEDOM TREE”の住人たちには秘密がある。本名。身許。ここに住む理由。11秒だけ、未来が見えること。繁華街でトラブルに巻き込まれた早紀は、“FREEDOM TREE”に住むジョージに危ないところを助けられる。隠し事の多いハウスメイトたちに戸惑う早紀は、やがて彼らの秘密と、謎めいた失踪事件の存在を知る。少しだけ、捜査に有利な特殊能力を持つ早紀と知人の元ホスト・司は、真相に迫ろうとするが…。「BOOK」データベースより

  • 未来を、11秒だけ(2019年7月/光文社)

第1章

友人の夏音にダブルデートのセッティングを押し付けられ、早紀が夏音の相手として呼んだのは星川司だった。早紀が紹介されたのは鹿倉有三で、彼氏に二股をかけられ振られた早紀がこのまま有三と付き合い始めるのではと思い始めた頃、2人のいるバーにガラの悪い男達が乱入して2人を連れ出した。男たちは有三をフジサキと呼び、振り込め詐欺の一員だったが3年前に金を持って逃げた男だという。とばっちりで絶体絶命の早紀を助けたのは、早紀が男たちに路地裏に連れ込まれるのを知っていたと不思議なことを話すジョージという大柄な男だった。

ジョージの経営するシェアハウス「FREEDOM TREE」に避難した早紀は、住人の一人・エミリの部屋に一晩泊まることになる。シェアハウスには7人が暮らしており本名はお互いに明かしていない。弁護士の母親に幼い頃から英才教育を受けてきたエミリはある日爆発して家を飛び出して以来一度も帰っていなかった。人懐こいエミリは、ジョージには眠るとその場所での24時間後の未来が11秒だけ夢で見ることができる能力があり、それを使ってナンバーズを当てて生活費を稼いでいると話すが、これはシェアハウスの住人だけの秘密だという。早紀も二股を掛けられた話を打ち明けはじめ、朝目覚めると傍に眠るエミリがリストカットしていた。慌てて共有スペースにいたロイ、かるかんに声を掛けエミリを介抱する。ジョージの同棲相手のキャロはエミリを介抱したあと、突然のリストカットの心当たりはないと話す早紀をシェアハウスから冷たく追い出した。

仕事の休憩時間、エミリから電話が入っていたことに気づいた早紀が折り返すと、キャロがいなくなったので来て欲しいと言われる。仕事を終えた後にシェアハウスに着くと、いつものようにsanctuaryと呼ぶ小部屋でナンバーズの当たり数字を夢で見ようとしたジョージが、口から血を流し生気を失ったキャロが突然sanctuaryの扉を開けて投げ込まれた予知夢を見たと話す。夢が実現しないようにとキャロの外出を禁止しエミリとともに見張っていたが、気晴らしに郵便を出しに行く、直ぐに戻ってくると告げてキャロは出かけた。その後住人のユウが、外に落ちていたキャロのスカーフを見つけ異変に気付いたという。

第2章

オン・ザ・キャメルというバーで早紀は司にキャロが行方不明になった経緯を説明した。司にはサイコメトリーのような能力があり、持ち主が大事にしていた物品を持って眠るとその物品視点での過去の景色を正確に夢でみることができる。ジョージがキャロに贈り、ほとんど毎日のように身に着けていたというスカーフを借り、キャロに何が起きたのか知ろうと早紀は考え、司にスカーフを託した。翌日夢を見た司はシェアハウスで話をするというので早紀も同行する。シェアハウスではなぜかロイが姿を消していた。

郵便を出しに外出したキャロの前に20歳前後の若い男が立ちふさがるとキャロの腕を掴んで強引に引っ張っていく。キャロが「まだ早い」と言うと男は「緊急だ」と返し、押し問答の末納得したらしいキャロと男は連れ立っていった。その際にスカーフが落ちたため司の見た夢はそこで途切れている。キャロには日曜日にはどこか行く習慣があり、その時には汚してはいけない、なくしてはいけないからと寂しい気持ちでスカーフを外していると見た夢を話す司に対し、キャロはボランティア団体に登録していて土日などにバスで現地に行っていたとジョージは説明した。ジョージも一緒に行くといっても、知っている人と行くと旅行気分になるからとキャロは一人でボランティアに行くことにこだわっていたらしい。若い男が着ていたシャツを、ロイも昔着ていたことが分かる。ロイは高校を中退し、振り込め詐欺グループの出し子をさせられていたところをジョージと会いシェアハウスに住まわせるようになった。基本シェアハウスに閉じこもっているロイだが、たまに外出をしキャロと内緒話をしている場面も目撃されている。

キャロを連れ去ったのはロイを探しているかつてのロイの仲間ではないかとジョージ達は考える。キャロも詐欺仲間で、シェアハウスで真面目に暮らしていたロイを連れ戻すためにやってきた。自宅へ戻った早紀は、腹話術人形のマイクが喋り出す夢を見た。悩みや謎を抱えている時、マイクが勝手に動き出し生意気な口調で物事を整理しはじめるという早紀自身の能力だ。マイクは、連れ去られたキャロがどうやって戻ってsanctuaryで倒れられるのか、なぜそんなことをしなければならないのかと言った。

エミリから電話があった。ユウの部屋に箱根日帰りバスツアーのチケットが置かれており、ロイの字でジョージには内緒で参加してほしい旨のメッセージが添えられていたという。以前にもロイはジョージなしで話がしたいとユウをミカン狩りツアーに誘っていたが、ロイとさほど仲の良いわけでもないユウは断っていた。ロイの用意した箱根日帰りツアーには、ジョージ、エミリ、司、早紀が参加することになった。道中、早紀はジョージがかつて予知夢で視た女性を助けるため同僚たちに暴行を働き刑務所に入っていたことを聞かされる。儲けのない簡易宿泊施設を渡され親族たちと縁を切られたジョージはそこをシェアハウスにし、訳ありの人間たちが住むようになった。家族から行方不明届を出されているエミリのためにキャロの失踪を警察に届けようとしないジョージの警察嫌いの理由が分かった。ツアーの自由行動時間中、運転手の栂野からジョージと喧嘩中のカップルだと思われた早紀は、彼が初婚で死別し、子どものためにとした再婚相手とも現在うまくいっていないことを明かされ、相手と向き合うよう励まされている最中、家にいたかるかんから電話があったと青ざめたエミリから、血がこびりついたロイの帽子が郵送されてきたと聞かされた。

第3章

仲の良いかるかんによると、帽子はロイの物で間違いないという。封筒の筆跡が子どもか日本語を習いたての外国人ではないかと話し合う中、警察への連絡を頑なに拒否するジョージに対しもうついていけないとユウがシェアハウスを出て行くことを宣言する。重い雰囲気の中、司がロイの帽子を持って眠るといいsanctuaryに籠った。情緒不安定になったエミリを一晩見守るつもりでいた早紀は、住人でイラストレーターのサワコと交代したところでsanctuaryから出てきた司に誘われて外へでる。ジョージに聞かれたくない話だという。

夢の力というのはしばしば変化していくらしく、司の夢も音がなくなった。だがロイの動向は分かったらしい。ロイはバスツアーのチケットをユウに託した後山梨へと行きタクシーである一軒家に到着した。裏手に回ったところで後頭部を殴打され昏倒、キャロを連れ去った男ともう一人の男に倉庫らしき場所に放り込まれた。朝になり窓からパンが放り込まれた。そのうちロイは窓の外に黒人の男の子がいるのに気付き、シェアハウスの住所が書かれているサワコの名刺と自分の帽子を何とか男の子に託した。ロイが襲われた一軒家が犯罪グループの家なら、警察に連絡した方がいいがジョージが承知しないだろう。司と早紀は2人で一軒家を探すことにしてレンタカーを借りた。

道中マイクの話をすると、司がバスツアー会社に財布を落としたことにして聞いてほしいことがあるという。司に言われるがまま質問をした早紀は、ジョージの予知夢の力が変化したことを司から聞く。ジョージはしばらく前から24時間後ではなく24時間前の出来事を見るようになっていた。ナンバーズの数字を当てていたのは、48時間後の夢を見ることができるキャロによって、ジョージが見たように細工されていた。つまりジョージが見たキャロの死体らしき姿は、未来ではなく過去の映像だった。そんな細工ができたのはキャロ自身でしかない。司は、キャロが犯罪集団の仲間でロイを引き戻すためにシェアハウスにやってきたのではないかと考えた。2人は苦労しながらも黒人の男の子を手掛かりにロイが向かった一軒家を見つけ出すが、男たちに襲撃される。何とか逃げ出すものの、若い男の仲間だと思われるもう一人の男の顔を見て驚く。2人が知っている男だった。

第4章

山梨から戻る最中エミリから電話が入った。母親がシェアハウスに乗り込んできたため逃げ出したという。エミリと合流した早紀たちは山梨での出来事を話す。犯人達に繋がる物品を手に入れられなかった司は、頼みの綱は早紀の能力だといいオン・ザ・キャメルへ連れて行った。夢の能力を知っているマスターの協力でマイクと話をした早紀は、ユウと連絡をとることにした。なぜたいして仲が良かったわけでもないユウをロイは執拗にバスツアーに誘ったのか、そこにヒントが隠されている筈だった。ユウと話をした3人は、ユウがキャロの本名を知っていたことを明かされる。司はそれをとっかかりに一連の事件を組み立てて真実に近づいていく。キャロの正体こそがキャロとロイが行方不明になった理由だった。

夢で見た内容が理由では警察に信用されず頼れないと考えた司は、ジョージ、エミリ、早紀を伴いロイたちを救出するため再び山梨へ向かった。

終章

事件は解決したが、シェアハウスは閉鎖することになった。エミリは実家に戻り大学入学を目指すことに、サワコは部屋を借り、かるかんは劇団の寮に入ることに決まった。キャロは戻ってこなかった。事件から3週間ばかり経った頃、早紀は司から呼び出された。集まったのはジョージ、ロイ、ユウの3人で、旅行で行った奄美大島で「自由大樹」という魅力的なボロ家を買い取り、3人でカフェをすることになったという。そのうち民宿もするので早紀と司もくればいいと誘う。

早紀は新天地で笑い合うシェアハウスのメンバー達の笑顔を思った。

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どういうわけか登場人物たちがことごとく合わなくて話に入り込めませんでした。なぜこのタイトルを付けたのかよく分かりません。