青柳碧人『二人の推理は夢見がち 』あらすじとネタバレ感想

青柳碧人さんの「二人の推理は夢見がち」のあらすじと感想をまとめました。

最初に続編と知らず読んでしまった「未来を、11秒だけ」の元になる話です。

”夢見がち”という予知夢能力を持つ早紀と司の出会い編とでもいう話でしょうか。

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「二人の推理は夢見がち」書籍概要

祖父が急死し、葬儀のため帰省した早紀は、その顛末に不審を抱く。彼女は、気まぐれに入ったバーで知りあった、特殊な能力を持つという青年と協力して事件を再調査することにした。しかし、調査を妨害するかのように次々とトラブルが……。

  • 二人の推理は夢見がち(2018年4月/光文社)
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第一章

3年間付き合った彼氏に二股を掛けられて振られた篠垣早紀は、ヤケ酒ではしごし最後に「オン・ザ・キャメル」という真っ赤な壁のバーにふらりと入った。そこにはマスターと一人の男性客がいた。客は早紀からスマホを借りると寝始める。男は、その人が大切にしている品物を持って寝ると夢の中でその品物になり、品物目線で過去を見ることができるという能力の持ち主だった。彼氏に振られる過程を見事言い当てられた早紀は怒って店を飛び出す。

翌日、仕事中の早紀の元に田舎の母親から祖父が亡くなったという連絡が入った。心臓が悪かった祖父が散歩に出かけた先の神社で倒れているのが発見された。見つけて救急車を呼んだり家に連絡してくれたのが晴彦だった、と3日間の休暇を取り地元に戻った早紀は、駅まで迎えに来てくれた高校時代の友人・まゆみから経緯を聞いた。まゆみは手先が器用で竹細工を得意としている。東京の大学に合格し上京する早紀にまゆみが作ってくれたふくろうのキーホルダーは大切にしまってある。またまゆみや早紀に竹細工を教えてくれたまゆみの祖父は無形文化財の陶芸家で、もうすぐ人間国宝になるかもしれないと誇らしそうに教えてくれた。

早紀と祖父は折り合いが悪く、防波堤になってくれた祖母が亡くなって以降ほとんど口を利く事もないままだった。通夜の席には早紀の友人たちも何人か列席してくれ旧交を温めていた時、「ちくわぶ甚兵衛」と綽名されている変わり者が乱入してくると、祖父の死は自然死ではない、この中にそのことを知っている人間がいると騒ぎだし追い出された。

葬儀を終え東京へ戻る日、出勤前のまゆみと時間を合わせ、早紀はまゆみに乞われ彼女の祖父・藤三の所へ行くことにした。人嫌いで偏屈な性格にと変わってしまったという藤三は山の横穴に簡易な家を作り住んでいるという。だがあいにく留守で会うことはできなかった。実家に着いた早紀は、慶弔休暇中の父親がちくわぶ甚兵衛の言葉を気にしていることを知る。早紀は、祖母に「夢見がち」というオン・ザ・キャメルであった男と同じ能力の持ち主だったことを聞かされた。祖母が生きていれば祖父が死んだ時の状況が分かるのに。そんな2人の所へ、ちくわぶ甚兵衛が亡くなったという知らせが入る。慌てて駆け込んでくる人、驚く父の姿、このシーンを早紀は知っている気がした。

第二章

祖父のジャンパーを持ってオン・ザ・キャメルを再訪した早紀は男を見つけ、祖父が亡くなった時の状況を夢で見てもらうよう頼む。男の名前は星川司といった。司はジャンパーで夢は見られなかったと言い、別の品物でも試すため早紀の田舎へと向かうことになった。到着した田舎の駅で、早紀たちは葬儀にも来てくれた同級生・由利と会う。由利は学生時代にちくわぶ甚兵衛を呪ったことがあり、その呪いが10年後の今になって発動したと言うが到底早紀には信じられるものではなかった。

家に着くと司の能力を心得ている父の協力で早速司は眠りに入る。由利から聞いたとまゆみがやってきた。今なら藤三が家におり早紀にも会いたがっているので行こうという。久しぶりに会った藤三は人当たりの良さが消えていたが和やかなひと時を過ごした。まゆみを連れて家に帰った早紀は、一緒に食事を摂りほろ酔いのまゆみを途中まで送ることにした。その帰り道、晴彦にばったり出会う。晴彦は倒れていた祖父を発見してくれた高校時代の先輩で、当時まゆみと付き合っていたが今は結婚して子どももいる。飲みに誘われた早紀だったが向かった先の店は臨時休業中だったので、晴彦の経営する会社で飲むことになった。そこで突然晴彦から襲われた早紀だったが間一髪でまゆみに助けられ、そのまままゆみの家に泊まることになった。

第三章

翌朝、早紀はまゆみのアルバムを手に取った。そこには藤三と、藤三に目元がそっくりな男と一緒に写っている幼少時にまゆみがいた。彼女の母親によると、藤三の兄の長一郎だという。朝食を食べさせてもらった後家に戻ると、用水路で死んでいたちくわぶ甚兵衛の件で警察が着ていた。足を滑らせて溺死したと思っていたが首の後ろに押さえつけられたような跡が見つかったらしい。ちくわぶ甚兵衛は早紀の祖父の死の秘密を知ったため誰かに殺されたと警察は考えているらしい。

司が腹話術人形を持ってくると、祖父が東京で早紀が大けがをしないよう毎日人形を拝んでいたと話し出す。腹話術人形は、早紀が上京する時に祖父が無理やり持たせようとしたが頑なに拒否したものだった。人形になって夢を見たという司は、もともと祖母の人形だったこと、祖母の予知夢を知っており早紀にもその力があると気づいた祖父だったが、力自体は腹話術人形が持っていると思い込み、早紀に拒否された後も毎日無事を願って拝んでいたことを伝える。祖父と自分は互いに嫌い合っていたと考えている早紀は司と言い合いになり、司は散歩へ行くと言い家を出て行った。ちくわぶ甚兵衛の件で同級生が逮捕されたと聞いた早紀は同級生の家へ向かい、彼と仲の良かった別の同級生の男から話を聞いていた。その時、男のところに由利から電話がかかってくる。司が頭を殴られて意識を失っている状態で縛られているという内容で急いで現場へ向かう。司が縛られていたロープに早紀は見覚えがある気がした。

司は病院へ運ばれ事情を聞かれた早紀は、司の能力のことを警察に話すが信用してもらえない。まゆみに東京へ帰る予定を延期したことと、司が入院している事情を話すと一緒に病院へ行ってくれるという。撮っておいたロープの写真を見た2人は、そのロープが晴彦の会社にあったことを思い出して訪ね、鍵のかかったプレハブの中で晴彦が死んでいるのを発見した。

第四章

晴彦の自宅に合鍵を取りに行く傍ら、早紀は顔なじみになった警察に連絡する。合鍵を持った妻とともに警察より先にプレハブに到着した早紀たちは、鍵を開けて室内に入る。何か匂うといったまゆみはガス台へと走ると、早紀たちにすぐに外に出るよう叫んだ。コンロに火を付けたまま風呂に入った晴彦だが、何かの拍子で火が消えガスが充満した。気を失った晴彦はそのまま風呂で溺死した……事故死と思われたものの不自然な点が多すぎると妻が言った。

目を覚ました司に警察とともに呼ばれた早紀は、早紀の祖父が何かを探して公園の裏山に行っていたこと、それを知っていた晴彦が夢で見た光景を求めて司が裏山へ行ったため殴り倒して縛り付けたことなどを聞く。本庁に問い合わせて一応は司の能力を認めた警察官に家まで送ってもらう最中、会話の中で早紀は事件にまつわるヒントを得た。その晩、腹話術が夢に登場し、事件から目を背けようとしている早紀を叱咤する。目を覚ました早紀は警察に連絡し、自分の考えを話すことに決めた。

その後犯人と対峙した早紀と退院した司は、密室と思われていたプレハブでの晴彦の事故死が殺人であったこと、そのトリックを解いてみせる。そして祖父の死、ちくわぶ甚兵衛の死、晴彦の死と一連の事件はすべて繋がっていることや真犯人の動機についても説明していった。

終章

約束を違えて現れた警察に興奮した真犯人が暴走し、早紀も司も命の危機に脅かされたもののなんとか一命は取り留めた。

その後それぞれの入院を終え東京での生活に復帰した早紀と司は、オン・ザ・キャメルで再び顔を合わせた。

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推理部分はあるのですが、事件の真相に近づいていく過程に超能力を使う割合が多い気がしていまいちハマれませんでした。簡単に周囲に流される早紀の性格が無性に勘に触りました。