知念実希人『神のダイスを見上げて』あらすじとネタバレ感想

知念実希人さんの「神のダイスを見上げて」のあらすじと感想をまとめました。

人類滅亡までの数日間を姉を殺した犯人への復讐に費やす少年の話です。真犯人に辿り着く部分がミステリー、そこに至るまで軽いアクションを交えつつの青春ものといった雰囲気の一冊でした。設定がぶっとんでいるせいか、いまいち現実感のないストーリでした。

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「神のダイスを見上げて」書籍概要

地球に向けて、巨大小惑星ダイスが接近中。人類は、あと5日で終わりを迎える。人々はその瞬間、『裁きの刻』をどう迎えるのか―。高校生の漆原亮の姉、圭子が殺された。コスモスの咲き乱れる花壇で、全裸で胸にナイフを突き刺された姿で発見された姉は、亮にとって唯一の家族、“世界そのもの”だった。恋人のこともそっちのけで、亮はとにかく犯人を見つけ出し、自分の手で復讐したいと暴走。そして“あるもの”を手に入れるため、クラスの“禁忌”と呼ばれる異端児・四元美咲に接触する。優しく、美しかった圭子を殺したのは、圭子の恋人だったのでは?しかしそれが誰なのかわからない。犯人を追い求めて、亮は圭子が入っていた天文学同好会、そしてダイスを崇拝するオカルト集団「賽の目」に踏み込んでいく…。人類滅亡まであと幾日もない中で、なぜ圭子は殺されなければならなかったのか―。絶望×青春ノンストップタイムリミット・ミステリー!! 「BOOK」データベースより

  • 神のダイスを見上げて(2018年12月/光文社)
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第一章 十月十五日「裁きの刻」まであと五日

母親が亡くなって以降手を取り合って生きてきたたった一人の家族・姉の圭子が殺害された。火葬を済ませた亮は、巨大小惑星ダイスが地球に接近するまでの残り5日間を、姉を殺した人間を探し出し自らの手で復讐するために使うことにした。

地球滅亡までのカウントダウンが始まり治安が悪化するなか、亮は母親が凄い剣幕で学校に怒鳴り込んで以降孤立しているクラスメイト・四元美咲の協力を得て拳銃を手に入れる。四元は姉を殺された亮がどんな気分なのか知りたがり、それをきっかけに2人はポツポツと話をするようになる。銃を手に入れた帰宅した亮のもとに女性刑事の岩田が尋ねてきた。本来なら捜査本部が立つような圭子の事件も、ダイスのせいで人手不足となり岩田一人が担当しているらしい。彼女から情報を得て犯人を見つけて殺すため、亮は情報共有をし犯人が見つかったら逮捕するという嘘の協定を結んだ。

第二章 十月十六日「裁きの刻」まであと四日

姉の友人・小百合と会った亮は、圭子と付き合っているという男の情報を得る。高校時代までラクロスをやっていた圭子は大学に入ると同時にぴたりと運動をやめ、天文学同好会に入った。そこの1つ上の先輩・魚住が圭子の恋人らしい。小百合によると、圭子の恋人の話はあくまで噂で、圭子はいつも亮のことばかり話していたという。いつだったか姉との会話を亮は思い出す。ダイスが接近する「裁きの刻」も自分と一緒にいてくれるかと尋ねた圭子に対し、亮は言葉を詰まらせた。亮には高校の同級生で雪乃という彼女がいたからだ。あの時一緒にいると即答していたら姉は死なずに済んだかもしれないと、亮は深い後悔に苛まれていた。

自宅マンションの玄関で雪乃が待っていた。圭子が死んで以降顔を合わせていなかった雪乃は「裁きの刻」も一緒にいていいかと尋ねながら亮に迫ってくるが、そんな気になれないと亮は拒否し雪乃を傷つけた。四元がいつもいるという小高い丘へと向かった亮は、雪乃とのやりとりを話して聞かせると、どちらも最低だと言われてしまう。亮は雪乃を圭子の代理としてしかみておらず、雪乃は美人と評判高かった圭子に勝つため亮と付き合い始めたからだという。

魚住の自宅が分かり出向いた亮は、彼から圭子の恋人ではないときっぱり否定される。熱心に口説いたことは認めたが圭子は一切振り向かず、傷心の魚住を同じ同好会の香澄になぐさめられ現在は彼女と付き合っているらしい。魚住からは圭子の付き合っていた相手の候補として大学の小田切教授の存在を教えられた。

第三章 十月十七日「裁きの刻」まであと三日

まだ日も昇っていない早朝に目覚めると、圭子のスマートフォンから、彼女が所属してた天文学同好会の部屋に来るよう亮にメッセージが届いていた。姉の鞄やスマートフォンは遺体発見現場からは見つかっていない。つまり犯人からのメッセージだった。大学へと忍び込んだ亮は、喉を切られて死んでいる魚住を発見すると胸元に貼りついている写真を取り慌てて逃げた。写真は姉と亮がキスをしている場面を写したものだった。場所は自宅、つまり盗撮写真だと分かった亮は、カメラのアングルから姉が好んで家のあちこちに置いているぬいぐるみの中からカメラを発見した。

魚住の事件を担当してる串崎刑事が岩田を伴って亮の家にやってきた。魚住の彼女・香澄が、昨晩亮と話をしたあと魚住の様子がおかしくなり家を出ていったと証言したからだ。串崎は「裁きの刻」をたった一人の家族と迎えるため何としても事件を解決したいと考えており、最初から亮を犯人と決めつけて4時間以上も取調室に拘束する。魚住に会いに行った事を隠していたのは契約違反だと岩田に責められた亮は、魚住との経緯を話し、以前圭子の鞄の中からEDの薬を見つけたことから彼女の恋人は小田切教授だと自分の考えを話した。その後、魚住が殺害された時間は亮と一緒にいたと四元が恋人を名乗り嘘のアリバイを証言したおかげで解放される。なぜか気になり四元を尾行した亮は、総合病院の婦人科病棟に辿り着く。そこは母が癌を患い入院していた場所だった。また親友の鳥谷から電話がかかってきて、雪乃を傷つけたことを詰られた。

小百合の紹介で面会した小田切教授は、圭子が特別な存在だったことを認めたものの、事件の起こった日を挟んでイギリスに行っていた。教授はダイスが地球に衝突すると信じきっておりあと少しで全てが焼き払われると様子がおかしかった。家に戻った亮は玄関先に男がいるのに気付き追いかけたが逃がしてしまった。ポストには男が入れたと思われる封筒があり、中には殺害される直前と思われる、椅子に縛られ猿轡をされた姉の写真が何枚も出てきた。

第四章 十月十八日「裁きの刻」まであと二日

岩田を喫茶店に呼び出した亮は小田切や怪しい男、写真の話をした。岩田は、小田切がダイスを神の啓示と崇め奉る「賽の目」というサークル立ち上げていることを話す。現在はカルト的な集団に発展し熱狂的なメンバーもいるという。圭子もこのサークルに所属しており、何らかのトラブルに巻き込まれたか狂信的な人間によって生贄にされたのかもしれないと考える。衝撃的な写真を送りつけたことからも犯人は亮を深く恨んでいる人物と考えられた。亮と岩田は、家に盗聴器が仕掛けられている可能性を考え、それを利用して犯人をおびき出す芝居を打った。亮と犯人が対峙する数時間前から岩田が現場を見張るという作戦だった。

四元のいる丘へと向かった亮は、彼女に今までの経緯とこれから犯人と対峙し復讐することを報告した。犯人と会うだろう場所へと向かう途中、再び圭子のスマホから呼び出しのメッセージが届く。場所はラブホテルで出入口を見張っていた亮の目の前で、鳥谷と雪乃がホテルから出てくる。雪乃との関係も終わり修羅場を繰り広げる3人に数人の男たちが囲んでくるが、手に入れた銃の貴重な一発を使い何とか逃げ延びた。

第五章 十月十九日「裁きの刻」まであと一日

日付が変わり犯人と対峙する時間になったが岩田と連絡がとれない。彼女が張っているだろう場所へ行くと車があった。サイドウィンドウが下がっており中には喉を切られ事切れた岩田の姿があった。岩田との作戦を知っているのは四元だけだった。亮は以前彼女を尾行した病院へと向かう。医者に見つかりとっさに四元の従兄弟だと偽った亮は、四元の母親が癌で入院しており状態が良くないことを知る。その後会った四元には尾行していたことを知られて怒りをぶつけられ、岩田の事も亮の復讐の事も自分にはどうでもいいことだと突っぱねられた。

姉が縛られている写真を投函した男が「賽の目」のメンバーではないかと考えた亮は、小田切の自宅へと行く。そこには写真を投函した男、亮や雪乃たちを襲った男たちが折り重なるように倒れていた。小田切によると「裁きの刻」を前に集団自殺を図ったらしい。姉を殺したのは小田切なのかという詰問にそうだと答えた小田切も、亮の目の前で毒を呷って死んでしまった。

銃を手に入れた店に行った亮は、そこで四元も液体のドラッグを何度か手に入れたことを知る。今までの彼女の言動や、母親に縛られ管理されていたという四元の環境などから、亮は四元が手に入れたクスリで母親を殺そうとしていると考え病院に向かったが、既に母親は病死しており四元も見つからないという。丘で四元を待ち続けた亮は自分の推理が当たっていたことを知るが、彼女は母親を手にかけなくて良かったと言い亮にも復讐を思いとどまるよう暗に伝える。小田切とのやりとりを話し四元と意見を交わすうち気になることがあった。姉が所持していたEDの薬を検索すると、別の病気でも処方されることが分かる。症状によっては数年で命を落とすこともある難病だという。そしてその病気の症状は、ラクロスをやめてから儚い雰囲気になっていった圭子の状態に良く当てはまった。

姉の周囲にいて用心深い岩田をあっさりと殺害することができた人物……亮にはある人間が浮かんだ。それと同時に圭子のスマホから再度呼び出しのメッセージが届く。小田切は姉を殺した犯人ではなかった。

第六章 十月二十日「裁きの刻」

復讐を止めるよう促す四元に感謝と別れを告げた亮は、ようやく犯人と会った。犯人は自分がどんなに圭子を愛していても彼女の関心は常に弟にあったことを口にし、圭子を自分だけのものにするため殺害し、自分から圭子を奪ったとして亮に復讐していたことを認めた。犯人に対し銃の引き金を引いた亮だったが、何も起こらなかった。自分が眠っている間に四元がこっそりと銃弾を取り除いていたことを知る。四元から渡されたお守りの中に銃弾と手紙を見つけた亮は、姉を殺害した事件の犯人とは別に裏で糸を引いていた首謀者の存在を知った。首謀者は小田切の「賽の目」をのっとると組織を大きくして今回の事件を引き起こした。首謀者の本当の目的は、圭子を殺害することではなかった。

ようやく事件の全貌を知った亮は、自分を殺せと叫ぶ犯人を残し、上空に迫るダイスの「裁きの刻」を一人で迎えるだろう四元のところへと向かった。

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犯人候補が二転三転していき最終的に真犯人に辿り着くのですが、表面をなぞっていくだけの小説という感覚が最初から最後まで抜けなかったせいか、全く話に入り込めませんでした。読みやすいですが、好き嫌いも分かれそうな一冊でした。