古川春秋『暗殺日和はタロットで』あらすじとネタバレ感想

古川春秋さんの「暗殺日和はタロットで」のあらすじと感想をまとめました。

暗殺をタロットで占うという射撃の名手・与一と、交通事故で4年間の空白があるピアニスト・真琴を中心としたストーリーです。暗殺者とピアニストが協力して事件を追うのかとおもいきや……後半に怒涛の展開が待っていました。

「暗殺日和はタロットで」書籍概要

交通事故で瀕死の重傷を負ったピアニスト星子真琴。心臓移植で一命をとりとめた彼女は、占いで人生を決める孤高の暗殺者・与一と出逢った。与一がタロットで運勢を占うと「オーディションを受けたら、君は死ぬ」という結果に。それでもコンクール出場を目指す真琴は、なぜか裏社会の人間たちに命を狙われ…。二人を過酷な運命へ引きずり込む、事件の思わぬ全貌とは?カードが導く未来は、愛か死か?悲運のピアニストと孤独な殺し屋のスリリング・ドラマ! 「BOOK」データベースより

  • 暗殺日和はタロットで(2019年3月/講談社)

 

あらすじ

ピアノの国際コンクール会場へと向かっていた星子真琴は対向車とぶつかるという事故に遭い、気が付けば4年の月日が経っていた。助手席にいた母は即死、運転した真琴も鉄筋で胸を貫かれ、運よく適合するドナーから心臓を移植された真琴は4年間眠り続けていた。すっかり筋力も衰え歩くこともままならない真琴だったが、手に届かない場所へと行ってしまった当時のライバルに挑発され、再び国際コンクールに挑戦することになった。

無事に退院できたと安堵する間もなく、唯一の肉親だった父が事故に巻き込まれ死んでしまう。天涯孤独になった真琴のところへ、真琴の事故の加害者の娘だというかんなと、舞姫が押しかけてきて同居することになってしまった。

父の事故を謝罪するかんなは真琴のためには何でもするといい、舞姫は父が残した「何か」を見つけようとしている組織のボス・西郷から監視役に送られてきた女性だった。だが真琴は生前の父から何も受け取ってはいないし、伝言を残されたという事もない。

暗殺者の与一は依頼を受けて、ある人物を事故に見せかけて殺害した。真琴の父だった。その後、真琴の父の殺害を依頼した人物からコンクールに出場した真琴の殺害依頼があり、タロットの結果から暗殺を引き受けた。与一は何事もタロットの結果で決めており、暗殺を引き受ける前に偶然出会った真琴に対しても、コンクールに出場すれば命かそれに同等する物を失うといい、コンクール辞退をすすめていた。

あるバーの調律を引き受けることでピアノの練習会場を確保した真琴は、コンクールのために練習を重ねるものの、4年前には到底及ばないレベルにしか体は回復していなかった。

コンクール当日、会場へ向かう真琴と舞姫、かんなに向かって車が突進してくる。2人をかばった舞姫が撥ねられて重傷を負い、真琴が連れ去られた。暗殺を無事遂行するためにあとをつけていた与一は、真琴を守ると言い張るかんなをつれて去っていった車を追う事になった。

真琴は、西郷と腹の探り合いをしつつも繋がっている中国マフィアの船にいた。ボスの劉は、入院患者に化けて真琴と仲良くなっていたため、真琴は疑うことなく船での滞在を満喫していた。だが船の特別室では人身売買が横行しており、真琴に移植された心臓は、真琴の父が西郷を頼って人身売買オークションで競り落とした女性のものだった。

オークション費用を捻出するため、製薬会社の研究員をしていた真琴の父は、西郷に言われるがまま純度の高い覚せい剤を作り続けており、通常の3倍の価格でも飛ぶように売れたクスリのおかげで西郷は麻薬王と呼ばれるまでの地位を築いていた。だが真琴が目を覚ましたことで父親に罪悪感が生じ、西郷と手を切るために自分自身を殺すことを暗殺者に依頼して協力者によって死を偽装していた。西郷は父親が残しただろう覚せい剤のレシピを、劉は生きてどこかに潜伏しているだろう父親を引きずり出し、自分の所で覚せい剤を作らせるためのエサとして真琴を狙っていたのだ。

父親の作った覚せい剤を狙って西郷と劉の全面戦争が始まり、人質となった真琴も否応なく巻き込まれる。暗殺対象を依頼されたとおりに殺すまでは、対象が死なないように守るという信条の与一は、真琴が殺されないよう動くことになった。一対多数のなか絶体絶命に陥った与一だったが、思わぬところから助け舟が入る。

 

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初めての作家さんだったので、父親の死の真相や真琴が狙われる理由を探していくハードボイルド的ミステリーかなと思い読み始めたのですが、よく分からない読後感となりました。

ピアノ、暗殺、タロット、麻薬、裏組織、人身売買……設定盛り込みすぎて、結局どういう話だったのかあいまいです。真琴が主人公だと思っていたら途中から与一に視点が変わり、そこもまたテーマがぼやける一因になっている気がします。姿を見せない暗殺者のわりに真琴にあっさり暗殺現場を目撃されていますし、その後もしょっちゅう敵に捕まってます。なんというか、ちぐはぐな印象を受ける本でした。