畠中恵「つくもがみ」シリーズ第2弾『つくもがみ、遊ぼうよ』あらすじと感想まとめ

畠中恵さんの「つくもがみ、遊ぼうよ」のあらすじと感想をまとめました。

清次とお紅がメインだった1冊目でしたが、第2弾となる今回からは2人の息子・十夜と幼なじみたちへと主役が交代し、付喪神たちとの関係もがらりと変わりました。

「つくもがみ、遊ぼうよ」書籍概要

江戸は深川。僅かな賃料と引き替えに、何でも貸し出す損料屋の「出雲屋」には、つくもがみという妖怪と化した古道具たちがたくさん!威張りんぼうで、そのくせ友情にあつく、噂話にお茶や焼き芋、いたずらが大好き―主夫婦・お紅と清次のひとり息子十夜と幼なじみの子供らは、つくもがみたちと様々な大騒動を繰り広げ、健やかに成長していく―。「BOOK」データベースより

  • つくもがみ、遊ぼうよ(2013年3月/角川書店)
  • つくもがみ、遊ぼうよ(2016年4月/角川文庫)

つくもがみ、遊ぼうよ

乱暴に扱われて壊れてしまったら付喪神は消えてしまう。だから付喪神たちは遠慮のない子どもが苦手だった。けれど古道具屋兼損料屋の「出雲屋」では、十夜とその幼なじみの市助・こゆりのやんちゃな赤ん坊たちが日々成長していき付喪神たちに興味を持ち始め、付喪神たちは大層迷惑していた。

双六のそう六は、破られる恐怖と戦いながら点々と持ち主を変え出雲屋にやってきた。そして自分を守るため、十夜たちに双六の対決を挑む。勝てば双六を桐箱にしまって蔵にしまってもらうというのだ。だが最初のマスで金太郎と相撲勝負をするはずが、金太郎は現れず羽子板を持った2人の少女が出てきた。おまけに双六が乗っ取られてそう六は自分の双六に戻れなくなってしまった。なぜかそう六を敵視する少女たちと、十夜らは羽根つきで勝負することになった。

かろうじて十夜らに軍配が上がった。厄除けの守りとして伊勢屋のお三津を守っている羽子板たちは、そう六が伊勢屋にいた頃に呪いをかけ、そのせいでお三津の様子がおかしくなったのだと理由を話す。弟が生まれてから急に怖がりになって部屋から出なくなったらしい。

付喪神たちを懐に忍ばせて伊勢屋へと向かった十夜たちは、お三津から障子越しに怖い影を何度も見るという話を聞くが、羽子板たちは妖の気配は感じないと首を振る。付喪神たちが家の人間たちから話を聞き、市助たちと影の出方などを検証をした結果、正体は叔父の勝二だと分かった。叔父が赤ん坊であるお三津の弟をじっと睨んでいる姿を、お三津は障子越しに見ていた。付喪神たちは、勝二の縁談が関係していると言い出す。

 

伊勢屋の跡取り問題の話でした。跡を継ぐ予定で兄の店で働いていた勝二でしたが、お三津が生まれ、更に弟ができたことで跡継ぎ候補から外れ、別の店の娘との縁談が持ち上がります。長年暮らしてきた地域や顔なじみと離れることに躊躇っていた勝二は、跡継ぎの未練を断ち切れず赤ん坊を睨んでいたようです。

この一件を通して、十夜達3人と付喪神は友達になりました。

つくもがみ、探します

出雲屋に市助とこゆりの父親がやってきて、清次と何やら話し合っていた。凶悪な盗人一味たちが、十夜たちが住む深川近辺を荒らしているらしい。何やら怪異が現れると、その家に盗人が入るという話だ。付喪神たちの存在を承知している親たちが急いで清次のところへやってきたちょうどのその時、出雲屋の2階では見知らぬ雛人形たちが現れて大騒ぎになっていた。

次のターゲットは出雲屋かもしれないと恐れ、市助の家へと避難した十夜たちは、付喪神らが誇り高い自分たちは盗賊のために動かないなどと話し合っているのを聞く。雛人形達を探し出して話を聞こうと手分けをして動き出した付喪神のうち、猫の姿に化けていた猫神がある屋敷で捕まったと蝙蝠姿の野鉄が飛んで帰ってきた。

大久屋という金貸しの家に雛人形達がおり、そこに猫神もいるらしい。猫神を助けるため十夜たち3人と付喪神は、見るからにオンボロの屋敷に忍び込んだ。そこには修験者らしい男たちはいるが、雛人形の持ち主らしき女性の姿は一人もいない。大久屋に見つかったものの、屋敷に迷い込んだ猫を探しに来たと思われ、無事に猫神は戻ってきた。

大久屋は、修験者たちは大久屋の探し物が見つかるようにと祈ってくれるので屋敷内に留まってもらっているとにこにこしている。だが十夜達の目には、悪党のように映った。案の定、修験者たちは子どもらが屋敷内に侵入したのを見咎め、この家が見張られていると言い出す。そして正体は深川一帯を騒がせている強盗ではないかと十夜が口にした途端、豹変した。修験者たちから逃げながら、十夜は飛ぶことのできる付喪神・野鉄に望みを託して空に放った。

 

若い頃の大久屋は、ある武家の娘に心を寄せていました。生活のために彼女の家が手放した娘の雛人形たちを、大久屋は有り余るお金を使って買い戻していました。別れ別れになった仲間が買い戻されることに感謝した雛人形達は、大久屋のために彼が探している娘の行方の情報を得るため、下見にでかける盗賊たちの袖などに忍び込んで行く先々で動いていたため、怪異が出た家が盗人に狙われるという噂がたったのでした。

修験者らに目をつけて見張っていた岡っ引きたちのおかげで、十夜たちも助かり、盗賊たちはお縄になりました。

つくもがみ、叶えます

金持ちの大久屋は、十夜や付喪神たちに気前よくおやつや玩具をくれる。付喪神たちの活躍で大久屋と武家の娘の間に子どもがいたことが分かり、急に子どもが可愛くなったのだという。

その日も大久屋は店のおやつを根こそぎ買っていったという話を聞き、付喪神たちは楽しみに待っていたものの、大久屋は出雲屋にあらわれなかった。

出雲屋の2階では、付喪神たちが傷だらけになってくやしがっていた。独楽勝負に負け、弾け飛んできた独楽に跳ね飛ばされたりしたのだ。大久屋からもらう独楽は強く、双六の中の独楽の付喪神との勝負にも買っていたのだが、どこで手に入れたのか急に独楽の付喪神の持つ独楽が強くなったのだ。

大久屋の行方を追って、お供え物をして願い事をすると答えが返ってくるというある稲荷にたどり着いた十夜たちは、独楽の付喪神らがその正体だと知った。子どもの行方を捜している大久屋が、大量のお菓子や最新の独楽などを稲荷に供えていたのだ。更に十夜たちは、独楽の付喪神からとんでもない話を聞いた。最近頻発している人を騙して金を巻き上げるという悪党たちも、稲荷に毎日やってきているというのだ。

 

十夜達は親たちにバレると怒られるので、付喪神たちの協力のもと、知恵をしぼって稲荷にやってきた悪党たちを捕まえることに成功しました。

つくもがみ、家出します

双六の中の勝負で子どもたちに負けて心が傷ついた付喪神らは、家出をすることにした。自分たちがいなくなれば貸し出しができなくなり、困った出雲屋たちが慌てて探しまわるに違いない。だから自分たちが家出をしたことが分かるよう、仲直りの方法として用意すべきおやつなどを書きつけた書置きを残し、出雲屋に来ていた大久屋の手代の行李の中に忍び込んだ。

てっきり大久屋へ行くと思っていたが、着いた先はどことも知れない古ぼけた屋敷の蔵だった。付喪神たちは家出をして迷子になった。なんとかして深川に戻らなければならない。屋敷内で犬猫に追いかけられながらも外へ出ようと奮闘する付喪神たちは、屋敷にいた2人の男達が大久屋の親戚で、大久屋の金に頼るために良くない企みを相談しているのを聞いた。

大久屋には行方の知れない子どもがいた。その子を大久屋は金に糸目をつけず探している。見つかればその子どもが大久屋の全ての財産を受け継いでしまう。親戚たちとしてはそれでは困るのだった。親戚たちは、大久屋のお気に入りの3人の子どもたちのうちの1人が貰いっ子であることを知り、その子がうっかり大久屋に入ってしまわないよう、手っ取り早く全員を葬るつもりだった。何とか男たちと同じ舟に隠れることができた付喪神たちは、彼らが金の無心をするために舟を止めた先で、大久屋に出会った。

家出した付喪神たちを探し歩いていた十夜たちは、背後から不穏な気配を感じていた。市助とこゆりを先に逃がした十夜だったが、何者かに腕を掴まれ捕まってしまった。

 

親戚たちに怪しい動きがあると知った大久屋によって、十夜たちはひそかに護衛されていました。十夜を捕まえたのは腕に自信がある大久屋サイドの人間で、3人を狙っていた悪者たちをみるみる倒していきました。

大久屋のもとにたどり着いた付喪神たちは、彼らを探し来ていた清次とも無事会えました。

つくもがみ、がんばるぞ

大久屋の子どもが見つかった。お兼という女の子だった。すでに大久屋の家で暮らし始め、親戚らとの関係も良好という話だった。

出雲屋でいつものごとく付喪神たちと遊んでいた十夜らは、突然現れたお兼が付喪神の一つを気に入り、強引に手に入れようとしたことで喧嘩になってしまう。気の強いお兼は、十夜が貰いっ子だと爆弾発言を落として帰っていった。改めて清次とお紅から話を聞いた十夜だったが、何も身に入らなくなり、寺子屋でも師匠に叱られて別室に座らされていると市助とこゆりもやってきて、十夜は少しだけ笑うことができた。そこに付喪神たちがやってきた。大久屋の雛人形たちが相談にやってきたので、出雲屋に戻ってほしいという。

雛人形の元の持ち主はお兼の母親ということになる。雛人形達は、娘の名前が自分たちがかつて聞いていたものではないこと、大久屋の子ども探しを妨害していた親戚たちがあっさりとお兼の存在を受け入れたことなど、いくつかの理由によって、お兼が本当の大久屋の子どもなのか疑問を抱いていた。お兼と話をするため大久屋に出向いた十夜達一行は、お兼が姿を消したことを知った。付喪神たちは事情を知るため、影を伝って家の人間たちから話を集めて回った。結果、お兼は大久屋の親戚たちと組んで、大久屋の娘として家に入り込んだという結論に至った。

一度見つかった子どもが消えると、大久屋はお兼をずっと探し続ける。つまり実子は永遠に見つかることがない。そのうえお兼が死ねば、大久屋は子どもを諦めて親戚の中から跡取りを受け入れるかもしれない。お兼の命が危ないと十夜たちは、非協力的な付喪神たちを何とかその気にさせてお兼の行方を捜し始めた。

 

親戚たちに命を狙われ、間一髪というところでお兼やその家族、十夜たちも助かりました。危ないことをした十夜や付喪神たちは清次にめいっぱい叱られますが、そのことで貰いっ子だったという自分の中にあった蟠りも解消されました。

親戚たちは、彼らの所業に怒った大久屋に見切りをつけられる一方、お兼たちは良くしてもらったようです。

 

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子どもたちが主役でしたが、清次やお紅、すおう屋の佐太郎たちが今でも親戚以上に仲の良い付き合いをし、立派に親をしている姿を見ることができて満足な一冊でした。