東川篤哉「鯉ヶ窪学園探偵部」シリーズ第1弾『学ばない探偵たちの学園』あらすじとネタバレ感想

東川篤哉さんの「学ばない探偵たちの学園」のあらすじと感想をまとめました。

公認・非公認と様々な部活動が活発な鯉ヶ窪学園で、文芸部に入るつもりが探偵部に入ってしまった赤坂通を主人公に据えた、部長の多摩川、八ッ橋の先輩コンビ、顧問の石崎も巻き込んで学園内で起こった不思議な殺人事件に挑むという話です。

3つの殺人事件が立て続けに発生するとう重い内容なのですが、文体がコミカルで読みやすいです。

「学ばない探偵たちの学園」書籍概要

私立鯉ケ窪学園に転校した赤坂通は、文芸部に入るつもりが、何故か探偵部に入部してしまう。部長の多摩川と部員・八橋とともに部活動に励むなか、学園で密室殺人事件が発生!被害者は、アイドルを盗撮しようとしたカメラマン。妙な名前の刑事コンビや、個性派揃いの教師たちが事件をかき回すなか、芸能クラスのアイドルも失踪!学園が誇る探偵部の推理は。「BOOK」データベースより

  • 学ばない探偵たちの学園(2004年1月/実業之日本社ジョイ・ノベルス)
  • 学ばない探偵たちの学園(2009年5月/光文社文庫)

事件1日目

半ば強引に探偵部に入ることになったトオルは、2人の先輩、多摩川と八ッ橋とともに、部室がないため第1校舎の屋上で「密室」談義を行っていた。下校の時刻も過ぎ、施錠の見回りにやってきた用務員の堀内に付き添う形で校内を回ることにした。

鯉ヶ窪学園には芸能人が通うクラスがあるため、カメラを持った部外者などの侵入が後を絶たず見回りを強化していたのだ。

3階建ての校舎を上から順に灯りのついている教室を見ていくと、

  • 3階の放送室には教員の島村がビデオ編集のため残っていた。
  • 2階の自習室では教員の本多が芸能クラスの西野エリカに補修を行っており、生徒会室には会長の桜井あずさが資料づくりで残っていた。
  • 1階は職員室に教頭がいた。

それぞれに施錠の確認を行った後、3人は用務員室に落ち着いて密室談義の続きを行う。

夜7時半頃、下校を始めた3人の耳に叫び声が聞こえてきた。中庭をはさんで第1校舎の向かいにあるプレハブ校舎からだった。悲鳴の正体は音楽教師の小松崎律子だった。プレハブ校舎には保健室、美術室、音楽室がある。プレハブと第1校舎の間には太郎松と呼ばれる松が、プレハブ近くにはツツジが等間隔に植わっている。

小松崎は保健室の前にいた。カバン錠がかかっているため中に入れないが、のぞき窓の向こうで人が死んでいるという。すぐに美術教師の久保もやってきたが、鍵は保健医の真田がもっているためどうしようもない。そこに真田が白衣から私服に着替え戻ってきた。窓を開けっぱなしだったのに気づいたとのことだった。ドアを開けると、全開になった窓のすぐそば、保健室のベッドの上で今にも落ちそうな恰好で制服姿の男がうつ伏せに倒れており、周囲の布団は赤く染まっていた。午後7時40分ほどのことだった。

出入口の鍵は施錠されていた。窓は全開だったものの台風の影響でぬかるんだ地面に、足跡は残されていない。つまり犯人は窓からの出入りはしなかった。密室殺人だ、と小松崎が言った。

事件2日目

警察がやってきて学園内は騒然とし授業どころではなくなった。探偵部にいたらしい顧問の石崎によると、被害者は田所という20代の盗撮専門のカメラマンだった。制服を着こんで学園内に入り込み、芸能人のシャッターチャンスを狙っていたらしい。凶器は学校内にたくさんある千枚通しを心臓に突き刺したとのこと。

だが誰が何のために保健室のベッドで田所を殺害したのかは分からない。保健医によると、その日はたまたま薬品の入った瓶を落として割ってしまい、匂いを消すために窓を開け、そのまま閉め忘れてドアに鍵をかけて帰宅してしまったそうだ。鍵をかけたのは7時半頃、つまり役10分の間に犯人は田所を殺して保健室から消えたということになる。

刑事たちは遺体発見現場に居合わせた人間たちに、被害者の所持品を拾ったり、拾った人を見てはいないかと尋ねまわっていた。美術の久保と音楽教師の小松崎のところにも刑事がやってきた。その際、小松崎は何かに気が付いたように「振り子」と呟いた。

刑事の一人が小松崎犯人説をあげていた。だが納得できない多摩川と八ッ橋は、直接小松崎に話を聞くため、アパートを訪ねた。灯りが点いているのが確認できるものの、玄関も窓も施錠され返事もない。カーテンの隙間からのぞき込むと、大量の血を流して倒れている小松崎がいた。強引に窓を割って侵入した通りすがりの隣人に続いて部屋に入った3人は、スツールの上に部屋の鍵が置いてあるのを見つけた。またもや密室だった。

警察は小松崎の死を田所殺害の良心に耐えかねての自殺と考えていた。小松崎の部屋から田所のデジカメが見つかったのも、自殺を裏付ける証拠とされた。刑事らが捜していたのは、まさにこの現場にはなかったデジカメだった。

だが探偵部の面々は、小松崎は自殺ではないと考える。

事件3日目

小松崎の呟いた「振り子」について話し合った結果、犯人は首をくくった人間がいるという噂の太郎松を振り子トリックに利用した。太郎松にトリックの証拠が残っているのではないかと考え、夜の学園に忍び込んだ。校舎に設置されている避難用のはしごをつかってトオルが太郎松に上ったところ、5mほどの松の上の方に傷跡を見つけた。

同時に巡回中の教師らに見つかり、多摩川と八ツ橋が支えていたはしごを手放し逃げた。はしごに乗っていたトオルは、なすすべもなく後ろ向きに倒れ地面に激突した。

意識を取り戻したトオルは、多摩川、八ッ橋とともにこれ以上勝手な行動をとらないよう巡回に付き合わされることになった。第1校舎3階の女子トイレ、一番奥の装具用具入れに押し込まれている女性の遺体が発見された。芸能クラスの少女・藤川美佐だった。美佐は田所が殺害された日、西野エリカとともに補修を受け、先に教室を出て行って以来行方が分からなくなっていた。

その後、美佐が殺されたのは田所と同じ日だと判明した。

事件4日目

刑事、顧問の石崎、多摩川、トオルが立ち会うなか八ッ橋が小松崎の家である実験を行い、みごと密室トリックを解いた。刑事のもとに、容疑者が捕まったという連絡が入った。警察署に戻る刑事は、探偵部の3人に事件の真相は石崎に聞けと言い残していった。

喫茶店に落ち着いた探偵部の3人に、石崎は田所の遺体がどうして保健室で発見されることになったのか、太郎松にのぼったトオルがはしごで落ちたのをヒントに、振り子を使ったトリックを披露してみせた。それは、同時に犯人を指摘するものでもあった。

まとめ

3つの事件とも同一犯人の仕業でした。流れとしては美佐→田所→小松崎の順で殺されたようです。八ッ橋の考えた密室トリックは正解でした。

 

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