堀川アサコ「幻想」シリーズ第1弾『幻想郵便局』あらすじとネタバレ感想

堀川アサコさんの幻想シリーズ第1弾「幻想郵便局」のあらすじと感想をまとめました。

生きている人間と死んだ人間の境目にある登天郵便局を舞台としたファンタジー小説です。

実はこのシリーズ、タイトルに惹かれて一番最初に「幻想探偵社」を読んだので、ファンタジー寄りのミステリーだと思っていました。「幻想郵便局」はミステリー要素はそれほど強くはありませんが、シリーズの主要登場人物たちも登場しますし、最終的にハッピーエンドで終わるので安心して読むことのできる一冊です。

「幻想郵便局」書籍概要

  • 幻想郵便局(2011年4月/講談社)
  • 幻想郵便局(2013年1月/講談社文庫)
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あらすじ

履歴書の特技に「探し物」と書いたのを見込まれ、安倍アズサは狗山にある「登天郵便局」にアルバイトをすることになった。

出勤初日から遅刻をしたアズサは、職場へと向かう途中、焦げ臭い匂いを漂わせたお洒落な美人に道を尋ねられ一緒に郵便局へと行くことになった。道を間違えたどり着いた廃墟の元ドライブインで局長の赤井と出会う。登天郵便局の倉庫なのだという。

いつの間にかいなくなっていた美人を不思議に思いつつ、赤井に連れられて到着した登天郵便局には、パンチパーマのオカマ口調の青木、配達員だという老人の登天がいた。

登天郵便局は、死んだ人が天国(もしくは別の場所)へと向かう入り口だった。そしてたまにやってくる生者の手紙を死者に届け、死者の手紙を「夢枕に立つ」「虫の知らせ」といった形で届ける場所だった。

登天郵便局は、この世とあの世の境目として最適な場所だった狗山比売(いぬやまひめ)を祀る神社を立ち退かせ建てられていた。そのため狗山比売と大変なトラブルを起こしており、登天郵便局はトラブルの最中に土地の権利書を失くしていた。

アズサの仕事は、窓口業務の合間にその権利書、サーフボードくらいの大きさの木簡の起請文を見つけることだった。

 

アズサが出会った焦げ臭い美人は、島岡真理子という名の幽霊だった。キャバクラ嬢をしていた彼女はある医者の愛人になり、マンションを与えられ病院の事務員になった。だが真理子にはもともと恋人がおり、愛人としてマンションに住む真理子にたびたび暴力をふるっていた。

そのうち真理子は妊娠した。相手は医者でも恋人でもなく、相談相手を務めてくれた恋人の友人だった。3股をかけていた真理子は、マンションで何者かに首を絞められて殺された後、火を付けられた。結構大きなニュースだったが、犯人はいまだ捕まっていないし真理子自身も分からないという。

真理子はアズサのことを初めてできた女友達だといい、殺された時に犯人からむしりとったという数珠をむりやりアズサに渡す。

 

アズサが真理子の恋人を追って着いた先で、起請文を見つけた。そして何者かによって封じられていた狗山比売が解き放たれ、土地をめぐって登天郵便局と狗山比売の対決は避けられないものとなった。

アズサは、真理子から預かった数珠の特徴から、ある幼稚園でこどもたちが親にプレゼントするために作ったブレスレットだということを知り、園長先生に話を聞きに行く。

園長は当時ブレスレットを作った女の子のことをよく覚えていた。その子の名前を聞いた時、アズサの中である人物とブレスレットが結びついた。

 

まとめ

ファンタジーがメインなので、ミステリー部分だけを抽出してまとめました。ファンタジーとミステリーが密接に関わっているので、そこだけを切り取るというのは難しいですね。

  • 真理子が幼いころに起きた事件で、新聞には事件が進展したという情報はない。
  • 被害者の真理子は突然襲われたので犯人が誰か知らない。
  • 警察も他殺とみて捜査を進めているが、幽霊となった真理子が証拠となるブレスレットを隠し持っていた為、犯人に繋がる手掛かりが途絶えた状態となっている。
  • 生前の行いを記録した「功徳通帳」の記録から、医者が犯人でないことは判明

情報はこのくらいです。恋人か、恋人の友人、もしくは医者の関係者(妻等)が犯人像として浮かびますが、ブレスレットの持ち主が分かるまで謎は一切おあずけでした。

 

最初は不気味な雰囲気を漂わせていた真理子が、だんだんと可愛く思えてくる一冊でした。自作の「幻想映画館」でも登場しています。