喜多喜久「ケミストリー」シリーズ第1弾『ラブ・ケミストリー』あらすじとネタバレ感想

喜多喜久さんの「ラブ・ケミストリー」のあらすじと感想をまとめました。

ミステリーよりファンタジー要素が強いように思います。読み終わってから、この作品が著者の応募作&大賞受賞作&デビュー作だと知りました。

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「ラブ・ケミストリー」書籍概要

第9回『このミス』大賞優秀賞受賞作品。有機化合物の合成ルートが浮かぶという特殊能力を持つ、有機化学を専攻する東大院生の藤村桂一郎。ところが初恋によって、その能力を失ってしまった。悶々とした日々を過ごしていた彼の前にある日、「あなたの恋を叶えてあげる」と、死神を名乗る少女、カロンが現われて…。東大で理系草食男子が巻き起こす、前代未聞の“日常系コメディ”登場。「BOOK」データベースより

  • ラブ・ケミストリー(2011年3月/宝島社)
  • ラブ・ケミストリー(2012年3月/宝島社文庫)

あらすじ

死神のカロンから余命6ヶ月を宣言された「私」は、この世を去る時に未練を残さないため願いを叶えてもらうことになった。スランプに陥っている藤村桂一郎を助けてほしいと私は願った。

大学院で有機化学の研究をしている藤村は、目的の物質の構造式を見るだけで最適な合成ルートが閃くという特殊能力を持っていたが、所属する神崎教授のもとに来た秘書の真下美綾に一目ぼれした途端、その能力を失ってしまい実験も失敗続きと数か月に渡る深刻なスランプに陥っていた。ある日藤村の目の間にカロンと名乗る女性が現れた。死神のカロンは物理的な障害はないに等しく神出鬼没なうえ藤村にしか見えないらしい。カロンは藤村が能力を取り戻すには、美綾と付き合うか諦めるかの二択しかないといい、藤村の恋の成就を応援するという。

大学まで付いてきたカロンは藤村と美綾の間にさほどの接点がない現状を把握すると、さっさと美綾に告白するようアドバイスする。研究一筋で碌に女性と付き合ったこともない、、美綾が初恋の藤村は当然尻込みするが、告白に失敗しても記憶が消せる能力があるというカロンに無理やり告白の場をセッティングされ美綾に気持ちを伝えた。が、藤村のことを良く知らないと言う理由で振られてしまった。

隣の研究室に所属している友人、東間の家で宅飲みしながら恋愛相談すると藤村の後輩である岩館に協力してもらえればいいとアドバイスを貰う。岩館と美綾は親戚同士で仲もいい。アドバイスに従って彼女に相談すると協力してくれるといい、これから昼食は藤村、美綾、岩館の3人でとることに決まった。ぎごちないながらも美綾に話しかけ、藤村は美綾の祖母がアグリバイオの分野で五指に入る大企業・マシタ化学の会長であることを知る。また岩館のさりげない誘導で連絡先の交換をすることができた藤村は、カロンに急かされながらも何とか美綾にメールを送った。

少しずつ動き出した藤村の恋だが、研究の方がまるで進展がない。神崎教授にスランプの原因を見抜かれ、藤村の能力を取り戻すために美綾を辞めさせると言われて、慌ててタイムリミットを年内(あと2か月弱)に区切った。カロンからも12月25日をタイムリミットだと言われていたのでちょうどよかった。

東間のアドバイスで岩館と3人でどこかに遊びに行く約束をした。当日に岩館に急用ができ2人きりのデートになるという流れの予定で、岩館もノリノリで藤村のデート用の服を見立ててくれる。またカロンと「私」の強引な方法で美綾を大学構内を案内したりと2人だけで過ごす機会も増えた。だが自分の恋が成就したからといって能力が戻ってくる保証などない。藤村は高い試薬を使った実験を中断し、能力が戻った時を想定して先に論文に取り掛かることにした。

藤村とは別の研究室に所属する後輩の上杉も負けず劣らずの有機化学バカだったが、彼もまた美綾を見た瞬間恋に落ちてしまったらしい。美綾との恋がうまく行くようにアドバイスしてほしいと言われ困っていると、実体を伴ったカロンが現れ藤村の時同様告白しろと言う。早速行動に移した上杉は、藤村の時と同じセリフで振られたもののその場でメールアドレスの交換をするなどの積極性を見せる。焦る藤村に岩館は美綾に告白しろと言う。再び藤村は告白を決意した。翌日どうにか美綾を呼び出し告白すると、今回はOKが貰えた。その晩、ふらふらと夜空を見上げながら歩いていた藤村の視界に光が走った。目を閉じると次々にイメージが溢れ出す。スランプに陥って見えなかったプランクスタリンの複雑な分子構造が見え、完璧な逆合成解析が頭の中にあった。

能力が戻ったこと、美綾と付き合うことになったのを知った東間は、一緒に喜び実験を手伝いたいと言う。時間との戦いになるため人海戦術がいいと神崎研究室のメンバーも全員が藤村の実験に参加することになった。実験は順調に進んでいき、美綾と約束した初めてのデートの日がやってきた。だがデートの日、深刻そうな顔をした美綾に連れられ藤村はマシタ化学のビルへと向かう。美綾の祖母が藤村に会いたがっているという。会長室で美綾の祖母と2人きりになった藤村は、マシタ化学に入社して美綾と結婚し、ゆくゆくは自分の跡を継いでほしいと言われる。マシタ化学に入ると研究ができなくなる。まだ付き合い始めたばかりで先のことまで考えられないと渋る藤村に対し、祖母は12月25日までに結論を出すよう告げた。クリスマスパーティーを兼ねて美綾の婚約発表をするというのだ。もし藤村が了承しなかった時は、美綾は祖母の決めた気に入らない婚約者と結婚することになるらしい。

12月25日、藤村は大好きな研究か初めて出来た恋人のどちらかを選ばなくてはならなくなった。恋と化学のどちらを選べばいいのかと迷う藤村に対し、東間は好きにすればいいと言い上杉は藤村が研究を辞めるのは惜しいので結婚は考え直してほしいという。悩んでいる間にも藤村の実験は順調に進み、もう間もなく完成という段階にまで入ってきた。そして決断できないまま25日を迎えた日、藤村は岩館から東間が倒れたと言う連絡を受けた。

まとめ

恋と化学、どちらを選ぶか藤村は決めました。結局カロンの力もあり、最終的には全て丸く収まるハッピーエンドになりました。

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丸く収まりすぎて正直ご都合主義的だとも思ってしまいました。カロンの力で何とかなるとはいえ、その解決方法は力技すぎて今まで本の中で積み重ねてきたことが台無しになるくらいの衝撃を私は受けました。