貫井徳郎『ドミノ倒し』あらすじとネタバレ感想

「ドミノ倒し」のあらすじと感想をまとめました。

読んでいくうちにタイトルの意味が分かってきます。読み進めるうちに事件がどんどん大きくなり期待も高まったところで……衝撃のラストを迎えました。

久しぶりにこの手の話を読みました。

「ドミノ倒し」書籍概要

  • ドミノ倒し(2013年6月/東京創元社)
  • ドミノ倒し(2016年6月/創元推理文庫)

 

亡くなった恋人・沙英のふるさとの月影市で探偵事務所を構えていた十村の元に、沙英そっくりな妹の江上友梨がやってきた。彼女の元恋人コーにかかった殺人容疑を晴らしてほしいという依頼だった。十村は月影市に赴任してきた幼馴染の警察署長と協力体制をとりながら事件の解明に挑むことになった。

世良朱美の事件

全裸の女性の遺体が山中で発見された。数か月前に東京から月影市に戻ってきた世良朱美だった。容疑がかかったのが彼女にストーカーしていたという男・前山耕一、通称コーだった。

だが彼には犯行時刻、友人らと居酒屋で飲んでいたというアリバイがあり、関係者たちの証言も一致していた。コーにかかった容疑を晴らしてほしいと依頼にきた友梨は、十村と新しく赴任してきた警察署長が親友であることを知っており、十村から直接警察署長に進言することを望んだ。

警察署長から、犯人が朱美の遺体に残したある痕跡が別の事件の被害者にもあったことを教えられた十村は、そちらの事件の解決が朱美の事件の真犯人を見つけることに繋がると考え、調査の手を広げていく。

朱美が老人会のボランティア活動していたことを友梨から仕入れ話を聞きに行くと、老人会の面々は彼女のことを天使のようだったと口々に褒める。朱美はお金に困っており、コーに対しても金の無心をしていたというコーの証言と食い違う印象のものだった。

大関善郎の事件

二年前、月影市と隣県との境目にある河川敷で、大関善郎の遺体が発見された。遺体発見場所から隣県の警察が担当することになったが、目ぼしい容疑者もなく未解決のままとなっている。

大関の母親や親友、生前の大崎の知り合いらに話を聞いた十村は、彼が幼女ポルノを好んでいたという特殊な趣味があったことを知った。

十村が世良朱美の事件から離れて調査をしていることを知った依頼人の友梨は不満を口にし、翌日から十村の調査に強引に同行するようになる。

警察署長から月影市の過去の未解決事件の一つに、五歳の幼女が殺害されたという事件があり、容疑者候補の一人が大関だったことを教えられる。

事件が起こった当時、大関は知り合いに犯行をほのめかすような言葉を吐いており、被害者の遺族やその周辺では大関が亡くなった今でも彼の犯行だったとかたくなに信じており、大関を手にかけた犯人を称賛するような素振りがうかがえた。

田ノ浦好美

コーの友人から世良朱美の幽霊を見たと連絡があり捜したところ、確かに朱美そっくりの人物を十村も目にした。生まれて間もなく養女に出された朱美の双子の姉、田ノ浦好美だった。

好美は、東京時代の朱美がブランド品などを手に入れるため結婚詐欺まがいの手法で次々と男を篭絡していたこと、そのうちの一人と大きなトラブルになり月影市に逃げ帰ってきたことを話す。コーの言っていたことは正しく、おそらく朱美は次の金の出所として老人会を狙ってボランティアをしていたものと思われた。

好美自身も朱美の事件に強い関心を持っており、自分が月影市をうろつけば誰かがひっかかるだろうと考えあちこちで姿を見せていたとのことだった。

小平秋俊の事件

朱美や大関の足に×印が残されていたのと同様、練炭を使った自殺として処理された小平秋俊の死亡現場にも×印が残されていたことを十村は警察署長から聞く。

大学生の小平はねずみ講で大金を稼いでいたらしい。小平の友人たちに当時の話を聞いてみるものの、全員が自殺だと思っており新たな情報は得られなかった。

 

調べれば調べるほどドミノ倒しのように次々と別の事件へと繋がっていく。好美は誰かに後を付けられているようだといい、十村は愛車のタイヤをすべてパンクさせられ、急遽持ちだしたママチャリのタイヤもパンクの憂き目にあった。事件の調査から手を引けと再三現れては十村に脅しをかけていく刑事コンビにも、再度脅しをかけられる。

いったいどうなっているのだと不審がる十村の携帯に、公衆電話から警察署長が電話をかけてきた。携帯電話のバッテリーも外して電源を切り、急いで月影から逃げろという慌てた口調の警告だった。

まとめ

一連の事件はすべて月影市民のグルという形でつながっていました。自分たちの「正義」に基づいての犯行で、×印は「罰(×)を与える」という意味だったようです。

さんざん大風呂敷を敷いておきながらその結末かと正直疲れました。外からやってきた署長と十村以外の警察も含めた市民全員が実は水面下でつながっていましたというのは、ミステリーとしてどうかと思います。

ラストもまるですっきりしません。何より十村はもちろんのこと登場人物が好美以外ほぼ不愉快キャラでした。辛辣で申し訳ないですが期待して読み始めた分、読後の落差が激しい一冊です。

奇をてらったものではなく、普通のミステリーが読みたいです。