大倉崇裕「白戸修」シリーズ第3弾『白戸修の逃亡』あらすじとネタバレ感想

大倉崇裕さんの「白戸修の逃亡」のあらすじと感想をまとめました。

中野区に近づいた時のみ災難に巻き込まれる体質の白戸。今回は過去の短編に出てきたキャラ総出演といった豪華なものでした。日頃の行いがここぞといった時に救いとなって表れてくるのですね。

「白戸修の逃亡」書籍概要

なぜかいつも事件に巻き込まれるお人好し探偵・白戸修。今回は、世界的に有名なビッグイベント『メガトンコミックフェスタ』を爆破すると予告し、中止に追い込んだ犯人に間違えられ、多くの人に追われることに…。しかし、行く先々で過去に事件で関わった人たちが救いの手を差し伸べてくれる。果たして彼は無実が証明され「白戸修」に戻れるのだろうか?シリーズ初の長編ミステリー!「BOOK」データベースより

  • 白戸修の逃亡(2013年9月/双葉社)
  • 白戸修の逃亡(2016年9月/双葉文庫)
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あらすじ

「季刊防災世界」に回された白戸は、防災研究家の聖田の提案で職場から自宅まで徒歩で帰宅するというレポに同行していた。おりしも場所は中野区。休憩のために入った喫茶店で聖田が姿を消し、ビル内のトイレで襲われた白戸は襲ってきた男によって服をはぎとられた。ポケットに入れていた財布も携帯もすべて持っていかれてしまった。仕方なく残された犯人の服を着て無一文で喫茶店に戻った白戸は、なぜか「松崎」と間違われ町中の人間から追われる羽目になった。

誤解を解く間もないまま逃げている最中、何でも屋の日比、探偵事務所の北条、元万引きGメンの重子たちの助けを借り、ようやく自分が置かれた状況を知った。

白戸を襲い服を交換した男・松崎は、超巨大コミックマーケット「メガトンコミックフェスタ」に爆弾予告を送りイベントを中止させた犯人としてネット上で糾弾され、過激なグループたちに追われていた。さらに賞金首にかけられたせいかSNSを介して松崎(=白戸)の目撃情報は次々と一般人たちによってネットで拡散し、協力者たちによって辛うじて事なきを得ているものの、どんどんと白戸は追い詰められていった。

そんな中、警備会社の七倉率いる自警団によって本物の松崎の居所が分かった。逃げ回るストレスのせいか発作を起こして倒れているという。松崎から無事に形態などを取り返した白戸は、謎の人物から掛かってきた電話に交渉し、病院に運ばれた松崎をこれ以上追い回さない代わり、白戸が松崎の身代わりとなって逃げ続けるというゲームに巻き込まれることになった。どこかにずっと隠れていたり警察に逃げ込んだら爆発物を起動させるという。

白戸の居場所を特定して次々と襲い掛かってくる人間らに対し、私立探偵の宇田川、盗聴器専門の冴子、オリキのユカや「NAKANO-KU」など次々に白戸にも救いの手が伸びてくる。

逃げるさなか、白戸は2年前の「メガトンコミックフェスタ」の日、会場となりにある「酒の博物館」で江守敦史という男の死体が発見されていたことを知る。頭に負っていた傷が直接の死因とみられた。また荷物の中に同人誌がたくさんあったことから「メガトンコミックフェスタ」の来場者であったと考えられる。江守は何かのはずみで転倒して頭を打ち、朦朧としたまま自力で酒の博物館までたどり着いたあと息絶えたと警察は断定した。

巨大イベントであるにもかかわらず、長年続くメガトンコミックフェスタで死者が出たことはなかった。もし死者が出ればイベントは中止、下手をすれば二度と開催できなくなるかもしれない。それを危ぶんだ何者かが、江守の死体を「酒の博物館」に遺棄したのかもしれない。「メガトンコミックフェスタ」関係者らの間では「死ぬなら隣の酒の博物館で」という言葉が合言葉のように流れていた。ゲームを仕掛けてきた謎の人物は、江守の父親だと白戸は推測した。

逃げ回りながらも「メガトンコミックフェスタ」の会場であるビッグセンターに到着した白戸は、聖田と再会する。彼もまたゲームの人物の一人だった。そしてもう一人、「メガトンコミックフェスタ」の実行委員長の功刀も姿を見せ、聖田の持っているデータをよこすように言う。功刀は実行部隊を抱えており、実力行使も厭わない様子だった。

イベント会社で働く仙道に助けられた白戸は、聖田から江守の父親から2年前の監視カメラの映像を渡すよう依頼され断ったことを聞いた。防災スペシャリストの聖田は、ビックセンター内に死角がないようカメラを設置・データの管理を行っていた。江守の父親は息子がイベント会場で死に酒の博物館に運ばれたという証拠をつかんでイベントを潰すため、功刀は万一イベント内で死人が出ていた場合、イベント継続のため証拠を握りつぶす目的で、それぞれが聖田のデータを狙っていた。松崎は2年前のビッグセンターの警備の責任者をしており、江守の父親に恨まれて爆破予告犯に仕立て上げられていた。

聖田にデータを託された白戸は、功刀らに追われながらビッグセンター内を逃げ続ける。途中、逃亡犯の芹沢の助けを借りつつ、仙道の持つパソコンでデータの解析を北条らに依頼する。

彼らの協力のもと、各視点の映像から江守敦史をピックアップしつなぎ合わせた結果、彼の死の真実が分かった。

 

江守敦史の死に至るまでの経緯が明らかになったことで、江守の父はゲームの終了を宣言し、一連の事件は幕を閉じました。

 

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今回も否応なしに事件に巻き込まれ、騒動の中心人物にまで成り上がっていましたが、いつもは巻き込まれるだけだったのが今回の白戸は周囲の人間を巻き込んでいます。協力者たちは全員が白戸を助けるため自ら率先して巻き込まれていったのですが、その人たちを危険にさらしているにも関わらず、「お人好し」を免罪符に自分の考えを曲げない白戸自身に腑に落ちないものを感じました。