太田紫織『櫻子さんの足下には死体が埋まっている3 雨と九月と君の嘘』あらすじとネタバレ感想

太田紫織さんの「櫻子さんの足下には死体が埋まっている3」のあらすじと感想をまとめました。

主人公の一人称で話が進むのですが、櫻子さんに対する感情やスタンスがはっきりしなくて、もやもやしつつ読みました。

「櫻子さんの足下には死体が埋まっている 雨と九月と君の嘘」書籍概要

北海道、旭川。僕、正太郎と、櫻子さんが住む街だ。櫻子さんは、抜群の美貌とスタイルを持つお嬢様。けれどどこか残念なのは、彼女が骨を好き過ぎるから。その雄弁さに惹かれ、真実を探り出す様は、まるで探偵。そんな彼女が、僕の高校の文化祭に来ることに。黙っていれば魅力的な彼女に、密かにときめく僕だけど、理科準備室で人骨が見つかり…。(「託された骨」)北の美食も謎も満載。残念美人櫻子さんの最強キャラミステリ!「BOOK」データベースより

  • 櫻子さんの足下には死体が埋まっている 雨と九月と君の嘘(2013年9月 角川文庫)

呪われた男

櫻子の運転で正太郎は顔なじみのお巡りさん・内海の友人、藤岡の家へと向かっていた。藤岡は中学の一時期を旭川で内海の通っていた中学で過ごしており、つい最近内海と再会したらしい。藤岡は内海にかけてきた電話で、近々自分は死ぬだろうと不安めいたことを口にしているらしく、心配した内海は櫻子の推理力で藤岡の心配の元を断ち切ってくれることを期待していた。

藤岡の家系は代々男が短命らしく、父親も30代で亡くなり最近叔父も50を前にして急逝、彼が調べて作り上げた家系図でもほとんどの男性が若くして亡くなっていた。また叔父が飼っていた飼い主が次々に亡くなるという曰く付きの呪いの犬・ヘクターを引き取っていた。

藤岡は妻と生まれたばかりの娘の3人暮らしだった。正太郎が見る限り夫婦仲は良好、ヘクターは人懐こく人を呪うようには見えない、生活も穏やかで安定しているように映るが、藤岡の表情は暗いままだった。その後藤岡が引き継いだ絵画の一つが、当時毒物だと知られていないまま顔料として使われていたことが分かり、その成分と湿気によるカビなどの要素によって命を縮めていたこと、体質的に女性より男性の方がストレスに弱く、過度の負荷がかかって命が縮まることもあっただろうことなどが櫻子により説明され、藤岡とその妻の不安は取り除かれた。

だが正太郎が、なぜ藤岡は内海に連絡を寄こしたのかという疑問を何気なく口にした時、櫻子は藤岡の真の狙いに気が付いた。

 

代々短命家系なのは本当のようですが、それを根拠に藤岡はある計画を立て内海に連絡をしてきました。中学時代の短い間しか交流がなかった内海を選んだ理由は、彼の職業にありました。

お祖母ちゃんのプリン

正太郎には大好きなお祖母ちゃんがいた。末期のがんで骨にまで転移して入院していた祖母を見舞うため、幼い正太郎は病院へと通っていた。祖母は洋風の食べ物は好まなかったが、正太郎がこれから見舞いに行くと電話すると、いつも決まった店のプリンを買ってきてくれるよう頼むので、正太郎は自転車で10分から15分ほどかけて寄り道し、何種類かあるプリンのうちいくつかを選んで手土産にしていた。

シェフをしてた祖父の作るプリンすら好まなかった祖母がその店のプリンだけをなぜ食べたがったのかと、祖母の墓参りの帰り道、プリンを片手に九条家にやってきて話す正太郎に、九条家のばあやがその疑問にはこたえることができると言う。櫻子にもすぐに分かったらしい。

 

かわいい孫に対するお祖母さんの最大限のやさしさと気遣いでした。ほろりときます。

託された骨

正太郎の高校の文化祭に櫻子がやってきた。正太郎のクラスのカフェでパンケーキを食べていたはずがいつのまにか姿を消している。店を放り投げ心当たりの場所へと向かうと、案の定、使われていない理科室に櫻子はいた。理科室には前の主、在校中に急死した佐々木先生が作った多くの骨格標本があるが、引き継いだ磯崎先生が管理しきれず埃をかぶっていた。磯崎は櫻子が標本士だと知ると、骨格標本の整理を手伝ってほしいと頼み櫻子は快諾し、なし崩しに正太郎も手伝うことになった。

作業中、動物の骨だけでなく人間の骨が見つかった。佐々木先生が遺したものと思われる。火葬の跡があることから犯罪性はないものの警察に通報し、骨の主は曾根夏子という女性だと分かった。介護施設に佐々木先生の姉・小雪がいた。生まれた時から足が悪く車いす姿だった。夏子は父親が使用人として引き取ってきた子どもで、小雪とは非常に仲が良く友達のように育ったらしい。おそらく若い頃の夏子と佐々木は互いに想い合っていた。

小雪は夏子の骨と一緒に赤ん坊の骨がなかったのか気にしていた。離れに住む小雪の部屋でこっそりと夏子が産み落としたものの、死産だったためすぐに夏子が秘密裡に埋めてしまったとのこと。父親が佐々木ではないことを小雪は断言した。結局2人が結ばれることはなかったものの、佐々木はその後亡くなった夏子の骨を引き取り理科室に保管していた。正太郎は赤ん坊の骨を見つけると請け負い、櫻子とともに骨と一緒に残されていた本や写真を手掛かりに、ある木の根元に埋まっていたオルゴールの箱を見つけ出した。箱の中には赤ん坊のものと思われる骨が入っていた。

赤ん坊の骨の特徴からある事実に気づいた櫻子は、赤ん坊の母親が夏子ではないこと、その赤ん坊の骨を見た佐々木がある思い違いをしたことで夏子と結ばれることがなかったことなどを導き出した。

 

理科室の整理中、確かにあったはずの猫の骨が消えていることに正太郎は気づきました。そして櫻子がこっそり自宅に持ち帰ったと確信し九条家へと行きます。理科室の猫の骨は、櫻子の飼い猫のものでした。

数年前に共学に変わるまで女子高だったそこは、櫻子の母校でもあり、佐々木は櫻子に標本の作り方を手ほどきした恩師だったようです。

 

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話自体もミステリー部分も面白いのですが、感性が違うのか、どうにも主人公の正太郎になじめないままです。